平成12年度海洋地球研究船「みらい」研究航海概要
1.航海番号 MR00−K06
2.航海名 北極海域の観測研究
3.観測研究の目的
広大な北極海の陸棚域は、淡水の流入、海氷の融解、結氷など著者な正及び負の浮力フラックスが供給される場合である。また、北極海の広い領域で、表層混合層と中層の大西洋水の間には、冷たい塩分躍層水が存在する。この冷たい塩分躍層の下部では、ケイ酸濃度極大、溶存酸素極小となっており、そのため水塊の起源が大陸近くの陸棚域にあると考えられている。冷たい塩分躍層の形成・維持・変動は北極海の成層構造の変動に大きな影響を与える。冷たい塩分躍層の諸過程について理解を進めるためには、大陸棚斜面、大陸棚に突きだした海谷での現象(力学的不安定、渦、海水交換、冷却に伴う水塊形成等)が鍵となる。そのため、陸棚−海盆間の諸過程に関して、陸棚域での海洋構造、浮力フラックス、海氷の年変動、経年変動のデータを10年スケールにわたって収集し、陸棚域の諸過程の北極域気候システムに与える影響を評価する。
4.観測の概要
ボーフォート海の陸棚斜面上・カナダ海盆内部領域を対象海域として、高精度なCTD採水観測、海水の化学分析などを行う。これらのデータを解析することで、陸棚斜面上での海洋構造の平均像とともにその変動を明らかにし、大陸棚−海盆間の水塊・物質の交換・混合過程を明らかにする。また、気象観測データ・人工衛星による観測データとの比較などから、大気−海氷−海洋相互作用に関わるメカニズムを明らかにする。
5.主たる調査海域
ボーフォート海
6.寄港地予定
関根浜 → ダッチハーバー → ダッチハーバー → 関根浜
7.日 程
平成12年8月19日〜10月6日(49日間)
8.調査主任予定 滝沢 隆俊
9.本航海計画の問い合わせ先
横須賀市夏島町2−15 独立行政法人海洋研究開発機構 海洋観測研究部
FAX:0468-65-3202
滝沢 隆俊 E-mail:takizawat@jamstec.go.jp
TEL:0468-67-5571
菊地 隆 E-mail:takashik@jamstec.go.jp
TEL:0468-67-3468
小林 智加志 E-mail:ckoba@jamstec.go.jp
TEL:0468-66-3811
10.特記事項
北極海での海洋観測は、流氷の分布とその時間変化や気象条件によって、大きく左右されます。そのため、計画された観測内容が大幅に変更せざるを得ない事や、時には全く何も出来ない可能性があります。現地での観測作業の実施に関しましては、船長と調査主任が海象・気象条件を勘案し決定する事を、御了解いただいた上で、御応募下さい。