平成13年度海洋地球研究船「みらい」研究航海概要

1.航海番号  MR02-K01

2.  赤道域における基礎生産力観測研究

3.観測研究の目的

 西太平洋赤道域には暖水塊が存在し、活発な蒸発による降雨が周辺に河川を発達させ、これらから流入する物質量は世界総計の25%以上を占めると言われている。この暖水域では二酸化炭素の放出が抑制され、また栄養塩が枯渇し低生産になる一方、沿岸域では河川からの栄養塩類の流入により高生産になるなど、炭素輸送の観点からプロセス研究を行う鍵となる海域である。また、東側では貿易風により深層から海水が昇湧し、栄養塩類が有光層内に運ばれるため高生産とることが知られている。この構造は、ENSOに呼応して大きく変化するが、生物学的によく理解されているとは言えない。また、SeaWiFSの海洋生物学への応用が期待されている。海色から表層のクロロフィルa濃度を推定し、さらに基礎生産力を推定する方法が提案されている。これによると、全球規模での基礎生産力を推定することが可能となり、植物プランクトンが炭素循環に果たす役割を解明する大きなてがかりとなる。海色データから植物色素や基礎生産を推定するためには、衛星による観測と同期した海洋観測が不可欠でる。そこで、暖水域から湧昇域を含む赤道域において、海洋生物光学的観測を衛星と同期して行う。

4.観測の概要

 海洋表層における基礎生産力、新生産力、植物色素濃度及び栄養塩類、溶存酸素濃度、溶存二酸化炭素濃度 、海中光など計測し、この海域の特徴を詳細に把握する。また、海洋レーザ観測装置により光合成活性等の計測を試みる。また、衛星データ(海面水温、海色)受信を行う他、いくつかの測点では、海底直上までのCTD/採水観測、24時間培養などを行う

5.主たる調査海域

西部熱帯太平洋海域 (東経145度付近から西経160度付近、主に赤道上)

6.寄港地予定

 関根浜_ホノルル_グアム_関根浜

7.日  程

 平成1416日_平成14215日 (41日間)

8.調査主任予定  

 河野 健

9.本航海計画の問合せ先

横須賀市夏島町2-15
海洋科学技術センター 海洋観測研究部
河野 健       E-mail:kawanot@jamstec.go.jp
TEL: 0468-67-3427   FAX:0468-65-3202