海洋地球研究船「みらい」共同利用規程
10規定第24号
第1章 総則
平成10年10月29日
(目的)
第1条 この規程は、海洋地球研究船「みらい」(以下「みらい」という。)の共同利用に関する基本的事項を定め、「みらい」の適切な共同利用を行うことを目的とする。なお、「みらい」の運用に関しては「海洋調査船および海洋地球研究船運用規程」(60規程第20号)の定めるところによる。
(定義)
第2条 この規程において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 利用計画:平成9年9月16日付け「みらい」運用体制検討委員会(事務局:科学技術庁)において策定された「みらい」の利用に関する目的および機能・役割についての基本方針並びに「みらい」の運用に関する計画の作成方法、乗船研究の公募、取得データの取扱い及び成果の公表などの方針。
(2) 共同利用型運用:「みらい」運用検討委員会で作成された「 長期観測研究計画 」 (以下「長期計画 」という。)並びに「中期観測研究計画」(以下「中期計画」という。)に基づき、研究課題及び乗船研究者を公募して実施する研究航海。
(3) 「みらい」運用検討委員会:「みらい」を運航して実施すべき観測研究の課題を選考するため、関係分野の研究者を始めとする有識者により構成される海洋科学技術センター(以下「センタ-」という。)内に設置された委員会。
(4) 乗船研究者:前号の委員会により研究課題が選定されて「みらい」に乗船する研究者及び当該研究者と共同で研究を実施することが必要であると認められて「みらい」に乗船する研究者等。
第2章 基本方針
(長期計画の作成)
第3条 「みらい」運用検討委員会は、利用計画に基づき、向こう10年間に「みらい」を運航して実施すべき観測研究の課題を長期計画として作成し、理事会の承認を受けるものとする。なお、本計画は原則として5年毎に見直す。
(中期計画の作成)
第4条 「みらい」運用検討委員会は、長期計画に基づき、向こう3年間の「みらい」の運航計画を中期計画として作成し、理事会の承認を受けるものとする。なお、この計 画においては、主要研究課題、海域、観測項目等を定めるものとし、毎年見直す。
(研究課題及び乗船研究者の公募)
第5条センターは、国際的な研究への貢献を認識した観測研究計画を推進するために、「みらい」の次年度運航計画に示される各航海について、「みらい」を利用して実施する研究課題及び乗船研究者を国内外に公募する。
(応募資格)
第6条 研究課題及び乗船研究者の応募に関する申込資格は、次の各号に定める。
(1) 国内の研究機関、大学その他の機関に所属する国内の研究者等。
(2) 国外からの応募については、前号の国内の研究者等を応募代表者とし、これと共同して応募する研究者。
(応募の申込)
第7条 研究課題及び乗船研究の応募者は、別途定める研究課題申込書に必要事項を記載のうえ、公募期限内にセンターに申込まなければならない。
(研究課題及び乗船研究者の決定)
第8条 研究課題及び乗船研究者の応募に対し、「みらい」運用検討委員会において、長期計画に基づく次年度運航計画に示される主要研究課題への貢献を考慮するとともに、別に定める選定基準により研究課題及び乗船研究者を選定し、理事会において承認する。
2 選定された研究課題の担当研究者と共同して研究を実施する研究者等及び長期計画に貢献すると認められる者については、前項と同様に乗船研究者として選定し、理事会において承認する。
3 長期計画及び中期計画にとらわれない創造的研究課題についても、優れたものについては、研究課題及び乗船研究者の選定を行い、理事会において承認する。
(採否通知)
第9条 センターは応募者に対して研究課題の採否を書面にて通知するものとする。
(経費の負担)
第10条 「みらい」乗船に関する経費の負担については次の各号による。
(1) 乗船研究者の経費については、「みらい」の共同利用に関する事務処理要領の定めるところにより、必要に応じてセンターが負担することができるものとする。
(2) 前項以外の取材その他の作業を目的とした乗船者は、乗下船のために必要な経費及び乗船中の食事代等を負担するものとする。
(データ取得に対する要望及び実施)
第11条 センターは、研究課題の公募と同様に、定常的に観測されるデ-タや研究課題から取得されるデ-タを含め、「みらい」を利用したデータ等の取得及び提供の要望を 受け付けるものとする。
2 前項の要望については、「みらい」運用検討委員会において技術的安全性・可能性等を検討して実施可能なものを選定し、理事会において承認する。
(取得データ及びサンプルの公開)
第12条 「みらい」を利用して取得されたデータは、国内外の研究者(機関)等の利用の便を図るため、「海洋科学技術センターにおける観測データの公開指針」に基づき、速やかに公開することとする。
2 「みらい」を利用して取得されたサンプルは、原則としてセンターが適切な保管を行うとともに、可能な範囲で国内外の研究者(機関)等の利用の便を図る。
(取得データ及びサンプルの帰属並びに成果の取扱い)
第13条 得られたデータ及びサンプルは、原則としてセンタ-に帰属するものとし、デー タ及びサンプルの取得を行った研究者等は、当該航海における関連データ及びサンプル を優先的に使用することができるものとする。
2 「みらい」を利用して取得されたデータ及びサンプルを用いた研究の成果の取扱いについては、「海洋科学技術センターにおける観測データの公開指針」に基づき発表するものとする。
第3章 計画の立案
(調査主任及び代表研究者の役割と選出)
第14条 調査主任(職員等のうち、実験調査等を統括する者をいう。)は各研究航海において「みらい」運航体制及び乗船研究者との連絡調整を行いつつ、調査研究行動全般に関する業務を統括する。調査主任及び同代理はセンターの研究者の中から選出し、理事会において承認する。
2 代表研究者は、調査研究行動中の研究に関する調整を行い、調査主任に助言する。
代表研究者は、センターまたは外部の研究者の中から置くことができるものとし、理事会において承認する。
3 調査主任は代表研究者を兼務することができるものとする。
(乗船アドバイザー)
第15条 乗船アドバイザーは調査研究行動において、航海の安全と適正な作業の進捗について航海行動の総括責任者に提言し、調査主任に助言するものとする。
2 乗船アドバイザーは適宜乗船させることができるものとし、理事会において承認する。
(航海計画の策定)
第16条 調査主任は、研究航海開始9ヶ月前までに航海計画を策定する。
(海洋法の規定に基づく調査書類の提出)
第17条 調査主任は、研究航海開始8ヶ月前までに海洋法の規定に基づく調査書類の必要事項を記入のうえ国際課に提出する。
2 調査主任は、研究航海開始3ヶ月前までに最終研究参加者名簿を国際課に提出する。
3 海務課は、研究航海開始1ヶ月前までに最終乗組員表及び取材その他の作業を目的とした乗船者の名簿を国際課に提出する。
4 国際課は、所定の手続きに従い必要書類を関係官庁に提出する。
(調査許可書)
第18条 沿岸国から海洋法の規定に基づく調査の許可書が送付された場合は、国際課においてこれを受け付け、調査主任及び海務課に写しを送付する。
第4章 乗船等
(乗船手続き)
第19条 「みらい」に乗船するために必要な手続きは、研究業務部において別途定める。
(乗下船について)
第20条 センターは、乗船研究者及び取材その他の作業を目的とした乗船者(以下「研究者等」という。)に対し予め乗下船の日時及び場所を指定する。
2 研究者等は、指定された乗下船の日時及び場所を遵守し、遅滞なく行動するものとする。なお、センターは指定した乗下船日時及び場所を変更する場合は、速やかに研究者等に対し通知するものとする。
(船内居室の指定)
第21条 センターは、研究者等に対して船内居室を指定する。
2 研究者等が指定された居室を利用する際は、居室内の備品を使用することができる。
(乗船者の遵守すべき事項)
第22条 「みらい」に乗船する者は、本規程に定めるものの他、乗船中は船長の指示に従わなければならない。
(施設等の利用)
第23条 センターは、研究者等に対し研究に必要な「みらい」の施設及び設備を提供する。
(機器等の持込み)
第24条 センターは、研究者等に対し研究に必要な場合に限り、研究資材を「みらい」に持込むことを許可するものとする。
(安全管理)
第25条 センターは、「みらい」船上において研究者等が行う調査研究の際の安全確保に関しては、研究者等の責に帰すべき事由によるものを除き、その責任を持つものとする。
2 研究者等が、「みらい」船上において調査研究を行う場合は、センターの定める安全に関する諸規程を遵守するものとする
附 則
第1条 この規程は、平成10年10月29日から施行する。
第2条 海洋地球研究船「みらい」運用指針(10達第1号)は、廃止する。