平成20年度海洋地球研究船「みらい」主要課題概要


1.航海番号
MR08-02

2.主要課題名
熱帯域における大気海洋相互作用に係る観測研究

3.観測研究の目的
   西部熱帯太平洋の暖水プール上空で発達する積雲対流活動から放出される膨大な熱は地球規模での大気大循環の駆動源として、気候変動を考える上で重要である。特に同海域で観測される大規模な積雲対流雲群は、赤道季節内振動として知られるマッデン・ジュリアン振動(MJO)や熱帯収束帯、熱帯低気圧などの形態で顕在化し、高緯度側への影響も大きい。そこで、同海域においてこれらの現象に伴う積雲対流の発生・発達過程を明らかにするため、大気及び海洋の観測を実施する。

4.観測の概要
   暖水プール海域において数時間から数日のスケールで発生・発達する雲群の素過程を明らかにするために、約1ヶ月の定点観測により大気と海洋の特徴を捉える。定点観測ではドップラーレーダーの連続運用の他、ラジオゾンデやCTD(水深500mまで)を3時間毎に実施する。定点の位置は人工衛星データや数値モデルなどをもとに航海前に最終決定する。なお、同域で発達した雲群は東西方向に伝播することが知られており、海洋への影響を調べるため、定点観測前に定点とは経度の異なる東経130度付近の南北にArgoフロートを数台投入する。

5.調査海域
西部熱帯太平洋(別紙参照
北緯5度−15度、東経130度−140度で囲まれた範囲内の1点で定点観測を実施。
定点位置は大規模雲群発生状況・予想をもとに航海前に最終決定する。また、定点前に、東経130度線(変更の可能性あり)を最南で北緯5度程度まで南下する。
添付図は、定点観測位置が北緯12度、東経135度になった場合の航路案。


6.日 程
平成20年5月26日〜6月30日 (35日間)

7.寄港地
出港地:関根浜(八戸経由)、寄港地:グアム
 

8.主要課題提案者
米山邦夫(専門:熱帯気象学)

9.本航海計画の問い合わせ
米山邦夫
海洋研究開発機構 地球環境観測研究センター
〒237-0061 横須賀市夏島町2-15
E-mail:
TEL:046-867-9465
FAX:046-867-9255

10.備考
同時期、同海域に位置するパラオ諸島等において、地球環境観測研究センターが熱帯収束帯や熱帯低気圧などをターゲットとして、ドップラーレーダーやラジオゾンデなどを用いた観測(プロジェクト名:PALAU2008)を実施するため、「みらい」とあわせた観測網の構築が可能である。