平成17年度 深海調査研究課題及び乗船研究者の公募

資料-2
  深海調査研究推進の基本的考え方


 
  1.基本方針
独立行政法人海洋研究開発機構(以後、「JAMSTEC」という。)は、海洋に関する基盤的研究開発の一環として、深海域における地球科学的諸現象(テクトニクス、地震活動、地殻変動、生態系変動、物質循環)の総合的解明・予測及び技術開発を目指した調査研究(深海調査研究)を推進するため、「深海調査研究5ヵ年研究指針」に基づき、深海調査研究課題の公募を行い、潜水調査船等を公募対象船舶として運用する。ただし、緊急事態や政策的重要課題に対応するため、JAMSTEC理事長が必要と判断した事項については、優先的にこれを実施する。

2.深海調査研究推進の体制
深海調査研究課題の公募を実施するため、JAMSTEC内に以下の委員会(部会)を設置する。委員(部員)名は、JAMSTEC web.等を通して公表される。ただし、委員長(部会長)が認めた場合は、適宜オブザーバーを参加させることができるものとする。
1) 深海調査研究推進委員会 ※ 参考-2「平成16年度 深海調査研究関連の委員会名簿」参照
(1) 推進委員会の構成
  潜水調査船・無人探査機等の運航及びこれによる深海の調査研究に関し、学識経験のある者のうちから委員長及び委員を理事長が任命する。任期:原則3年(必要に応じ再任を認める。)
(2) 推進委員会の役割
  JAMSTEC理事会及び深海調査研究計画委員会に対し、深海調査研究の総合的見地からの助言・勧告を行う。
2) 深海調査研究計画委員会 ※ 参考-2「平成16年度 深海調査研究関連の委員会名簿」参照
(1) 計画委員会の構成
  委員長は深海調査研究推進委員会がこれを推薦する。各専門分野(固体地球系・生態系・物質循環・長期観測・技術開発)を代表する委員の人選は委員長がこれを指名する。委員長及び委員は理事長がこれを任命する。任期:原則3年(必要に応じ再任を認める。)
(2) 計画委員会の役割
  1. 「深海調査研究5ヵ年研究指針」の策定
2. 応募研究課題の審査及び合否決定
3. 首席研究者/次席研究者の指名
4. 研究課題合否通知
5. 研究航海の実施結果に対する評価
6. 研究課題継続の可否の判定
3) 深海調査研究実施計画調整部会 ※ 参考-2「平成16年度 深海調査研究関連の委員会名簿」参照
(1) 実施計画調整部会の構成
  本部会の部会長は深海調査研究推進委員会が推薦する。他の部員は部会長が指名し、深海調査研究計画委員会委員のうち3名が兼任する。部会長及び部員は理事長が任命する。任期:原則3年(必要に応じ再任を認める。)
(2) 実施計画調整部会の役割
  1. 深海調査研究計画委員会の審査結果を受け、優先順位の上位のものから下記項目を勘案し、年次運航実施計画を作成する。
 ・安全性
 ・技術的妥当性
 ・時期的適応性(気象・海象・予算等)
 ・諸手続き等の確認(特に外国のEEZ水域、領海内水域調査等)
2. 首席研究者/次席研究者を計画委員会へ推薦する。
3. JAMSTEC調査機器に対する要望への対応
研究課題にJAMSTECの施設装備についての要望があった場合には、その妥当性と実現の可能性を検討し、必要に応じてJAMSTECへ勧告を行う。なお、本項目については、必要に応じてJAMSTEC内外の有識者の助言を得ることができる。

(参考)深海調査研究推進体制の組織
深海調査研究推進体制の組織図

3.深海調査研究5ヵ年研究指針の策定
1) 「深海調査研究5ヵ年研究指針」は、JAMSTECの深海調査研究の基本となるものであり、5年から10年を見越した科学研究計画を定める。
2) 深海調査研究計画委員会は「総合科学技術会議」、「海洋開発分科会」等の答申を反映させるとともに、JAMSTECが開催するシンポジウムやワークショップを通じて、広く内外の科学的ニーズや動向を考慮し、「深海調査研究5ヵ年研究指針」を作成する。

4.深海調査研究の公募
1) 研究課題及び乗船研究者
深海調査研究を効果的に推進するために、「深海調査研究5ヵ年研究指針」に基づいて、研究課題及び乗船研究者を公募する。
2) 公募における情報(公募に際しては、以下の条件を明記する。)
1. 調査研究において利用可能な潜水調査船等の内容
2. 調査航海等における制約条件(関連する法令・JAMSTECの安全規則等)
3. 研究課題審査の手順と申請者への対応の公開
4. 応募研究課題の審査とランク付け基準及び採択基準の公開
5. 首席研究者/次席研究者の役割
6. 受理後から調査航海終了までの業務手順
7. データ/サンプルの取扱い

5.応募研究課題の審査・採択及び通知・報告
1) 応募研究課題の扱い
全ての応募研究課題は採択まで非公開とし、採択後初めて公開される。
2) 委員会委員・部会部員の氏名は公開を前提とする。
3) 応募研究課題の審査及び採択
(1) 深海調査研究計画委員会において審査基準に従い以下の手順で審査し、科学的優先順位の決定を行う。必要に応じ適当な助言を与え、申請者へ差し戻すことができる。特に必要と認めたものについては外部の意見を求める。
1. 提出されたすべての研究課題は、委員長により各専門分野を担当する委員に割り振られる。各委員は査読後、提案者に代わって課題の説明を行い、各委員の審査を受ける。(Watch Dog制) このときの審査基準は、「科学的、技術的な目的・内容であるか。」「計画は妥当であるか。」「提案者の業績は十分であるか。」「先導性はあるか。」等である。
2. 次に同委員会として、実施計画調整部会に対して、これらの研究課題の審査結果を基に、「基本的に実施をリコメンドする。」「なるべく実施の方向で検討をリコメンドする。」「条件があえば部分的に実施をリコメンドする。」「実施しない。」の4段階にランク分けして審査結果とともに実施計画調整部会に通知する。
(2) 年次運動実施計画(案)の作成
深海調査研究実施計画調整部会においては、計画委員会の審査結果を基に安全性を考慮しつつ、効果的かつ合理的な年次運航実施計画(案)を計画委員会開催後、約1ヶ月以内に作成する。
(3) 深海調査研究推進委員会は、上記(1)、(2)項の審議を行う。
(4) 研究課題提案者への通知
1. 運航実施計画作成後、採択課題には早めに申請者に採択内示を出す。
2. 公募〆切後3ヶ月以内を目処に、応募研究課題全てに採択/不採択の理由(コメント)を付記し申請者に通知する。
4) 研究航海の実施結果に対する報告・公表の確認
(1) 採択された研究課題を実施した乗船研究者は、航海終了後すみやかに「航海概要報告書」を計画委員会に報告し、「クルーズレポート」の提出及び「しんかいシンポジウム」での発表を行う。また、「JAMSTEC深海研究」、その他学会誌への投稿などで研究成果の公開に努める。
(2) 計画委員会は、乗船研究者の当該報告・発表を確認する。
(3) 当該報告及び発表は、研究課題の継続検討及び次年度研究課題審査に反映される。

別添資料
参考-1「深海調査研究課題審査の流れ」[PDFファイル:8KB]
参考-2「平成16年度 深海調査研究関連の委員会名簿」[PDFファイル:8KB]