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【トピックス】Deep-sea diversity patterns are shaped by energy availability (エネルギーの利用可能性が深海の生物多様性パターンを決定する) との報告がNature誌に掲載

2016/06/23

Skipton N. C. Woolley, Derek P. Tittensor, Piers K. Dunstan, Gurutzeta Guillera-Arroita, Jose J. Lahoz-Monfort, Brendan A. Wintle, Boris Worm & Timothy D. O’Hara (2016) . Deep-sea diversity patterns are shaped by energy availability. Nature 533,393-396 (19 May 2016) doi:10.1038/nature17937

クモヒトデ類の多様性パターンがどのような要因で決定されているのかをグローバルスケールで調べた結果が報告されています。著者らは公開されているデータベースからクモヒトデの出現記録を収集し (OBISのデータも含まれています) 、クモヒトデの多様性の緯度的分布にはパターンがあることを見いだしました。その分布パターンとは、浅海域 (20-200 m) および陸棚から斜面上部 (200-1200 m) では熱帯域にピークを持ち、深海域 (2000-6500 m) では南半球と北半球のそれぞれの中~高緯度域にピークを持つとしています。さらに、それらの多様性パターンを決定する要因を統計的に調べたところ、浅い深度帯では温度 (運動エネルギー) が、深い深度帯では粒子状有機炭素 (化学エネルギー) の利用可能性が有意に影響を及ぼしていることが分かりました。これらから著者らは、いずれの深度帯にも共通してエネルギーの利用可能性がクモヒトデの種多様性パターン決定している、としています。

J-OBISが取り組んでいる海洋生物研究が生み出す多様性と分布に関して収集されてきた情報をはじめとし、これまでに研究・調査によって蓄積された 出現記録が利用可能な形で公開・提供されているからこそ、今回発表されました研究の成果に繋がったことでしょう。浅海から深海、さらには、熱帯から 極域までをカバーするような研究にも役立てられるよう、J-OBISは引き続き活動していきます。

JAMSTECが提供するクモヒトデのイメージ写真

沖縄の浅海で観察されたクモヒトデの写真
(クモヒトデは世界中の浅海から深海まで広く分布するため、
多くの出現記録が収集されています)

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