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【トピックス】メタンハイドレート域から発見されたシロウリガイ類について

2016/10/05

去る2016年9月23日、明治大学より「北海道日高沖の高メタン活動域で化学合成生物シロウリガイを発見・採集」というプレスリリースがありました。
https://www.meiji.ac.jp/koho/press/2016/6t5h7p00000m1zh5.html

その内容は、明治大学研究・知財戦略機構の松本良特任教授らの共同学術調査チームが日本海~北海道沖で実施したメタンハイドレート共同学術調査 (2016年7月24日~8月7日) において、新種と考えられるシロウリガイ類 (二枚貝) を発見・採集したという内容です。

シロウリガイ類はメタン湧水域などの海底泥中に埋在し、その鰓に共生させた化学合成細菌が生息地付近の堆積物中に含まれるメタンと海水中の硫酸イオンから細菌が硫化水素を合成し、その硫化水素をエネルギー源にして共生細菌が合成した有機物を得て生活する二枚貝として知られており、日本周辺でも各地で発見されていますが、日本海東縁に広範に分布する表層型メタンハイドレートやメタン湧水域では確認されていませんでした。

今回見つかったこのシロウリガイ類は高メタン活動領域で海底表層の採泥を行った際に、35cm×35cm×16cmの採泥サンプルの中から二枚の殻がついたままの死貝が3個体見つかったものであり、その状況から、この付近の海底には高密度で分布するものと考えられるそうです。

メタンハイドレートは「燃える氷」とも呼ばれ、新エネルギーとして近年注目を浴びています。現在、メタンハイドレートの探索は超音波等を用いた手法が主になっていますが、今回の発見がきっかけとなって、将来は海底の二枚貝群集の分布を手がかりにして探索が行われるかもしれません。
現在、シロウリガイは水産対象生物として利用されていませんが、そのような生物の分布情報が人類に恩恵をもたらすことになるかもしれないと感じさせるニュースでした。

OBISに提供された日本周辺のシロウリガイ類 (Calyptogena属) の出現記録

JAMSTECが所有するシロウリガイ類の画像 (画像はJ-EDIより)

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