OBISにおけるデータの共有と利用に関するガイドライン(改訂版)(J-OBIS事務局訳)
2024/06/12
データポリシー:OBISにおけるデータの共有と利用に関するガイドライン(J-OBIS事務局訳)
オリジナルはこちら(https://manual.obis.org/policy.html)
IOC総会は新たなIOCデータポリシーと利用規約[IOC Data Policy and Terms of Use](https://iode.org/data-policy/)(IOC Decision A-32/4.4, 2023)を採択し、OBISを含むIOCプログラム、プロジェクトおよびその他の実行コミュニティに対して、該当する場合において、新たなポリシーと齟齬のないメタデータ・データ・成果物の共有ガイドラインを策定し、採択するよう求めた。OBISにおけるデータの共有と利用に関するガイドラインは、SG-OBIS-IV(2015年2月)で合意され、IODE-XXIII(2015年3月)で採択されていたが、このガイドラインは以前のIOC data exchange policyの原則に基づくものであった。SG-OBIS-11(2023年5月)はこの課題をこなすためにData Policy Working Groupを設立し、その後、SG-OBIS-12において新たに更新されたポリシーに合意した。OBISデータポリシーのアウトラインは以下である。 斜体 の文章はIOCデータポリシーおよび利用規約からの文章である。
[節 1. 前文]
OBISデータポリシーはIntergovernmental Oceanographic Commission(IOC)データポリシーに従う。この観点から、我々は以下を認識する: 海洋メタデータ・データ・成果物の、リアルタイムおよび遅延モードでのタイムリーで、オープンで、無制限の国際的共有は、科学研究・開発・意思決定・気象気候の予測・海洋環境の運用的予測・生命の保全・経済的福祉・社会の安全保障・海洋や沿岸環境における人為導入された変化の緩和のため、そして、これを可能にする科学的理解の進展のために不可欠である。専門的な成果物の革新は、メタデータ・データ・成果物へのタイムリーでオープンで無制限のアクセスによって喚起され、促進される。メタデータ・データ・成果物は、最低限の遅延と最低限の制限を伴いながらも、アクセス可能であり、相互運用可能であり、そして、オープンに共有され得る状態であるべきである。
この文書は、IOCデータポリシーがどのようにOBISによって実施されるかを説明するものである。この文書は、メタデータ・データ・データ成果物のための必須事項を幅広く取り扱うが、OBISコミュニティのための詳細な説明はOBISマニュアル(https://manual.obis.org)でも提供されている。
[節 2. 目的]
このデータポリシーの目的は、メタデータ・データ・データ成果物の広範な利用と再利用を容易にするため、共有・アクセス・保全・帰属に関する要件を概説することである。
[節 3. FAIR・CARE原則]
人類と機械の双方による知識の発見と革新を支援するために、そして、地域固有のデータに対する規律を認めるために、データはFAIRの基本理念(検索可能、アクセス可能、相互運用可能、および再利用可能)[1]とCARE原則(集団の利益、管理の権限、責任、および倫理)[2]に、最大限実行可能な範囲において、合致すべきである。
FAIR原則は 検索可能性 に関連して、データおよびメタデータはグローバルユニークで永続的な識別子を付与される。OBISにとってこのことは、OBISで公開される全てのイベントおよび出現記録は適切な項目においてグローバルユニークな識別子を持つべきであることを意味する。データセットの更新の際は、これらの識別子を保持するよう注意しなければならない。データセットは公開時にはDOI(Digital Object Identifier)が割り当てられるべきである。検索可能性はまた、データセットが詳細なメタデータを用いることで説明されていることも意味する。実際において、OBISのデータセットメタデータは少なくとも、以下を含んでいなければならない:タイトル、データを収集する際に用いた方法に関する情報を含む詳細な記述、連絡先の情報、ライセンス、引用表記、地理的および分類学的対象、そして、他の関連メタデータ。
FAIRデータ原則の アクセス可能性 の観点について、データが利用可能で無くなった場合でも、OBISデータセットのメタデータは、データ提供者のIPTインスタンスを介して常にアクセス可能であるべきである。 加えて、OBISデータセットは、データにつながるDOIを用いて検索可能であるべきである。
相互運用可能性 原則では、知識は正式に指定された共有言語を用いて記述されなくてはならないとされており、それ故、知識は人間だけでなく機械も解釈可能となっている。OBISデータはDarwin Coreスタンダードを用いて記述されており、Darwin Coreスタンダードには、識別子、定義、そして利用可能な場合は使用されるべき語彙、といった項目セットを含んでいる。測定値や採集方法のデータの相互運用性を最適化するためにOBISデータセットは、BODC NERC vocabulary serverあるいは他の機械可読な識別子を有する語彙コレクションからの項目と識別子を用いる事が推奨される。
OBISデータは 再利用可能 でなくてならず、すなわち、十分な情報が利用可能であるがために、第三者は異なる組み合わせでデータを利用することが出来る。この意味において、レコードに関連する全てのデータとメタデータは完全で正確である必要があり、少なくともOBISマニュアルに示される最小限の情報を含んでいる必要がある。理想的には、データ提供者は最低限求められるデータだけで無く、可能な限り多くの情報を提供すべきである。データとメタデータ共に、OBISによって採択された標準規格に合致していなくてはならず、例えば、それはメタデータのためのEcological Metadata Language(EML)であり、多様性情報のためのDarwin Coreがそれらの標準規格である。また、提供された全てのデータは、利用ライセンス(現時点でOBISはそれらのライセンスについてCC0、CC BY、CC BY-NCを認めている)と明確にリンクしていることが必須であり、それらによって利用者は、データをどのように再利用することができるのかや、必要な場合にデータ提供者への正しい謝辞をどのように為せるのかを完全に理解することができる。
FAIR原則の遵守だけでなく、OBISデータはCARE原則と合致していなくてはならない。すなわち、地域固有のデータおよび情報は常に繊細に、かつ、敬意を持って取り扱われるべきである。地域固有データ所有者の権限は尊重されねばならず、先住民族の権利と福祉はデータのサイクルにおける全ての段階において考慮されるべきである。
[節 4. 利用条件]
データは、許可を得て、適切な帰属を表記することを(例えば、永続的識別子を用いて引用可能にして)保証し、そして、他者がデータを複製し、頒布し、利用できる状態にすることを可能にするような最低限の使用制限で、かつ、自主的な共同利用に供するライセンス[3]のもとで(節8を尊重して)使用が許諾されるべきである。
OBISに提供されたデータには、OBISマニュアルに示されたとおりOBISが受容するライセンスのうちの一つが付与されていなければならない。データ利用者は、データ公開者の帰属を、例えば、ライセンス、明確な引用指示、そしてDOIの提供によって、適切に表記することが推奨される。OBISは、OBISノードの働きを通じて、利用者にたいして高品質の海洋生物多様性データを提供することにも取り組んでいる。従って、OBISに提出される全てのデータは、提出前に厳格な品質保証および評価プロセスを経る必要がある。最低限、データ提供者は、位置情報の問題、分類学的な不一致、そして適切な形式変換に対するデータを確認しなければならない。データ提供者はまた、全ての必須情報項目が確実に利用可能であるようにしなければならない。データ品質管理をどのように実施するかの説明は、OBISコミュニティが提供する。高品質データにおける不可分な部分は、節3で示したとおり、完全で包括的なメタデータを有しなければならない。
OBISを介して公開される全てのデータおよび成果物は、いかなる利用者も、公平なアクセスと利益配分の原則に従い、自由にアクセスできる。このことに関して、ライセンスが認める限りにおいて、利用者は、なんらコストを負担することなしに、OBISデータにもとづいて成果物を作ることが出来る。 利用者は、助成金提案書の作成において、OBISおよびOBISノードとの提携や協力を、可能な限り、検討すべきである。OBISのような全球規模のデータベースは、世界中の多くの科学者やデータマネージャー(そしてしばしば無償の)の貢献なしには創出され得なかった。コーディネーション、データ統合、品質管理、データベースとウェブサイトの管理といった活動には、国および国際的レベルでの人的資源を含む資源が必要とされている。
OBISデータや派生した成果物、ソフトウエアアプリケーション、ワークフローおよび論文を(ただしこれらに限らず)利用する場合は、適切に引用を行うべきである。以下に示す形式が推奨される:
一般的なOBISの引用:
```
OBIS (YEAR) Ocean Biodiversity Information System. Intergovernmental Oceanographic Commission of UNESCO. obis.org.
```
OBISから取得されたデータを引用するためには下記を用いる事ができる(データセットの引用表記はzipダウンロードファイルのhtmlファイルにある):
```
[Dataset citation available from metadata] [Data provider details] [Dataset] (Available: Ocean Biodiversity Information System. Intergovernmental Oceanographic Commission of UNESCO. obis.org. Accessed: YYYY-MM-DD.
```
例えば:
```
Sousa Pinto, I., Viera, R. (Year: if not provided use year from dataset publication date) Monitoring of the intertidal biodiversity of rocky beaches with schools in Portugal 2005-2010. CIIMAR - Interdisciplinary Centre of Marine and Environmental Research, Porto. [Dataset] (Available: Ocean Biodiversity Information System. Intergovernmental Oceanographic Commission of UNESCO. obis.org. Accessed: 2015-01-01)
```
データが、統合されたOBISデータベースから取得された多くのデータセットから構成されるサブセットの場合、個々のデータセットを引用することに加えて(そして、個別データセットレベルでの制約を考慮した上で)、OBISのデータベースを以下のように引用することができる:
```
OBIS (YEAR) [Data e.g. Distribution records of Eledone cirrhosa (Lamarck, 1798)] [Dataset] (Available: Ocean Biodiversity Information System. Intergovernmental Oceanographic Commission of UNESCO. www.obis.org. Accessed: YYYY-MM-DD)
```
OBISからの情報成果物はCC-0のライセンスのもとで公開されており、以下のように引用することができる:
```
OBIS (YEAR) [Information product e.g. Global map showing the Hulbert index in a gridded view of hexagonal cells] [Map] (Available: Ocean Biodiversity Information System. Intergovernmental Oceanographic Commission of UNESCO. www.obis.org. Accessed: YYYY-MM-DD)
```
これらの引用表記は広範な利用に対応するが、一方で、利用者は常に、OBISとその広範なコミュニティによって提供されたデータや情報成果物に対する適切な帰属方法に関する詳細なガイドラインが書かれたOBISマニュアルを参照すべきである。
[節 5. データリポジトリおよびIOC ocean data and information system(ODIS)]
データは(コミュニティが採択し文書化した最良事例や標準規格を用いて)品質管理されているべきであり、完全なメタデータとセットであるべきであり、そして標準ベースのデータサービスを介して利用可能であるべきである。加盟国は、集約と相互運用性を奨励し、可能な場合IODEデータセンタ(National Oceanographic Data CentresあるいはAssociate Data Units)、あるいは、メタデータおよびデータをIOC Ocean Data and Information System(ODIS)をもちいて共有するようなIOCプログラムに関連する他のデータセンタを用いることを推奨する。ODISは相互運用性のあるレイヤであり、既存および新たに構築される海洋データや情報システムとが相互に運用可能にするための支援技術である。
節3で示したように、データ提供者はOBISへの提出前に全てのデータについて品質管理を実行する責任を有する。品質管理プロセスの詳細はOBISマニュアルに示されており、マニュアルはOBIS事務局とOBISノードによって定期的に更新される。OBISはODISに接続されており、IODEデータ構造の不可欠な部分となっている。
[節 6: 安全・長期間のデータ保管]
長期間の確実な保管のため、データと関連するメタデータは、実行可能な最大限の範囲において、IODE’s World Ocean Database(WOD)、Ocean Biodiversity Information System(OBIS)、Global Sea Level Observing System(GLOSS)、他のIOCに関連する全球的データアーカイブ、そして、World Data System(WDS)にリンクしたデータセンタや、それらの後継または他の全球的データアーカイブ、に提出されるべきである。
OBISとOBISノードはデータの長期保管を確実に実行すべきであり、データ保管の最良事例を遵守すべきである。OBIS事務局は管理しているデータベースをアーカイブするが、ノードは個々のデータセットのアーカイブに対して責任を有する。OIBSとOBISノードによって提供されるデータとデータ成果物はまた、ユーザーがアクセスし、クエリを送り、そしてデータを様々な形で取得可能とするような標準ベースのデータサービスを通して利用可能で無くてはならならない。OBISは現在、ユーザーがデータにアクセスするための複数の方法を提供しており、データ共有ための最良事例に従っており、この意味において、新たに開発される製品は、最大限のアクセシビリティと相互運用性を確保しなければならない。
[節 7. アクセス制限]
データおよび関連メタデータは、アクセスを制限すべきとの有効な理由が無い場合、最小限の制限のもとで利用可能であるべきである。データへのアクセスやデータの再利用を制限する正当な理由とは、特に、個人情報および機密事項、種や個体群あるいは懸念のある生息地の保全、そして、国家安全保障を含む。
OBISデータセットは3種の受入れ可能なCCライセンスのいずれかを用いて公開されるべきであり、最も寛容なライセンスであるCC0が望ましい。上述の理由のいずれかにより、情報へのアクセスが制限されなくてはならない場合、データ提供者はOBISへデータを公開する前にデータを検閲または一般化すべきであり、それらの変更内容がデータセットメタデータに確実に反映されるようにするべきである。
データがOBISで利用可能となったとき、OBISは以下の許可が与えられたとする:
・データおよび情報のポータルを介してデータを頒布すること
・統合データベースを構築し、データの品質管理プロセスのためにデータを用いること、気候変数といった他のデータによりデータを補完すること、そして、科学や意思決定のために付加価値の高い情報成果物やサービスを構築すること
・データ提供者が設定した利用条件に従って、他の類似のオープンアクセスネットワークにデータを提供すること
著作権保護遵守のため、OBISは、権利保持者からデータセットの取り込みのため許可を得るよう努める。OBISにおけるデータセットの掲載が、著作権の侵害を理由に異議を申し立てられた場合、OBISは、その問題が解決するまで、掲載を取り下げる方針に従う。
[節 8. 加盟国のデータ共有ポリシー]
このデータポリシーは、加盟国とデータ所有者が、該当する場合、国内管轄権、国際的な条約や協定と整合する方法において共有されているメタデータ・データ・成果物の利用条件を決定する権限を認める。
可能な限り、データは完全な状態で利用可能になっているべきである。しかし、加盟国の国内管轄や条約や協定を遵守するためであれば、データへのアクセスはいかなる場合でも制限されなくてはならず、データ提供者は、節7で説明しているように、OBISへの公開の前にデータの検閲や一般化を施す責任がある。
[節 9. データおよびメタデータの共有ガイドライン]
IOCプログラム・プロジェクト・およびその他の実行コミュニティは、該当する場合は、詳細なメタデータ・データ・成果物についての、IOCデータポリシーおよび利用規約と齟齬のない共有ガイドラインを策定し、採択しなければならない。
OBISおよびOBISノードは、OBISデータをどのように公開し、利用するのかについての詳細なガイドラインを提供している。その情報はOBISマニュアル(https://manual.obis.org/)において利用可能である。このマニュアルは定期的に改訂され、最良事例に合致するように改善される。
[節 10. 定義]
‘データ’とは、なんらかの実体についての一つまたは複数の特性を表す値、記号または符号の(様々なメディアに記録された)集合である[4]。‘メタデータ’とは、 中身、品質、状態およびそのほかのデータの特性を記述するようなデータについてのデータであり、データ自体の格納状況、発見、評価または利用を可能にする。この文脈における‘タイムリー’とは、所定の利活用において価値あるために十分な早さでデータや成果物が配布されることを意味する。‘オープン’とは、データが誰でも自由に利用し、再利用し、再配布できる状態を意味する—ただし、最大でも、同じように帰属を明記し共有することが求められる。 ‘成果物’とは、特定の用途に適用されることによりデータに付加価値がつき、より向上した状態になった物である。
OBISはIOCと同じ定義を用いる。
[免責]
OBISから派生した成果を解釈する場合は適切な注意を払う必要がある。利用者はデータの解釈や分析は海洋生物多様性について背景的専門性および知識が求められることを認識しなければならない。利用者は、種名の使い方、地理的参照方法、データ処理および地図化における発生しうるエラーに注意を払うべきである。利用者は、発生しうるエラーに対して自身の結果をクロスチェックすべきであり、必要に応じて結果に対する解釈を変更すべきである。
データが IOC/IODE の資金提供による活動を通じて収集されたものでない限り、 UNESCO、IOC、IODE、OBIS 事務局、およびその職員や請負者のいずれも、OBIS のデータを所有しておらず、OBIS に基づくデータまたは成果物の品質、あるいはその使用や誤用について一切の責任を負わない。
オリジナルはこちら(https://manual.obis.org/policy.html)
IOC総会は新たなIOCデータポリシーと利用規約[IOC Data Policy and Terms of Use](https://iode.org/data-policy/)(IOC Decision A-32/4.4, 2023)を採択し、OBISを含むIOCプログラム、プロジェクトおよびその他の実行コミュニティに対して、該当する場合において、新たなポリシーと齟齬のないメタデータ・データ・成果物の共有ガイドラインを策定し、採択するよう求めた。OBISにおけるデータの共有と利用に関するガイドラインは、SG-OBIS-IV(2015年2月)で合意され、IODE-XXIII(2015年3月)で採択されていたが、このガイドラインは以前のIOC data exchange policyの原則に基づくものであった。SG-OBIS-11(2023年5月)はこの課題をこなすためにData Policy Working Groupを設立し、その後、SG-OBIS-12において新たに更新されたポリシーに合意した。OBISデータポリシーのアウトラインは以下である。 斜体 の文章はIOCデータポリシーおよび利用規約からの文章である。
[節 1. 前文]
OBISデータポリシーはIntergovernmental Oceanographic Commission(IOC)データポリシーに従う。この観点から、我々は以下を認識する: 海洋メタデータ・データ・成果物の、リアルタイムおよび遅延モードでのタイムリーで、オープンで、無制限の国際的共有は、科学研究・開発・意思決定・気象気候の予測・海洋環境の運用的予測・生命の保全・経済的福祉・社会の安全保障・海洋や沿岸環境における人為導入された変化の緩和のため、そして、これを可能にする科学的理解の進展のために不可欠である。専門的な成果物の革新は、メタデータ・データ・成果物へのタイムリーでオープンで無制限のアクセスによって喚起され、促進される。メタデータ・データ・成果物は、最低限の遅延と最低限の制限を伴いながらも、アクセス可能であり、相互運用可能であり、そして、オープンに共有され得る状態であるべきである。
この文書は、IOCデータポリシーがどのようにOBISによって実施されるかを説明するものである。この文書は、メタデータ・データ・データ成果物のための必須事項を幅広く取り扱うが、OBISコミュニティのための詳細な説明はOBISマニュアル(https://manual.obis.org)でも提供されている。
[節 2. 目的]
このデータポリシーの目的は、メタデータ・データ・データ成果物の広範な利用と再利用を容易にするため、共有・アクセス・保全・帰属に関する要件を概説することである。
[節 3. FAIR・CARE原則]
人類と機械の双方による知識の発見と革新を支援するために、そして、地域固有のデータに対する規律を認めるために、データはFAIRの基本理念(検索可能、アクセス可能、相互運用可能、および再利用可能)[1]とCARE原則(集団の利益、管理の権限、責任、および倫理)[2]に、最大限実行可能な範囲において、合致すべきである。
FAIR原則は 検索可能性 に関連して、データおよびメタデータはグローバルユニークで永続的な識別子を付与される。OBISにとってこのことは、OBISで公開される全てのイベントおよび出現記録は適切な項目においてグローバルユニークな識別子を持つべきであることを意味する。データセットの更新の際は、これらの識別子を保持するよう注意しなければならない。データセットは公開時にはDOI(Digital Object Identifier)が割り当てられるべきである。検索可能性はまた、データセットが詳細なメタデータを用いることで説明されていることも意味する。実際において、OBISのデータセットメタデータは少なくとも、以下を含んでいなければならない:タイトル、データを収集する際に用いた方法に関する情報を含む詳細な記述、連絡先の情報、ライセンス、引用表記、地理的および分類学的対象、そして、他の関連メタデータ。
FAIRデータ原則の アクセス可能性 の観点について、データが利用可能で無くなった場合でも、OBISデータセットのメタデータは、データ提供者のIPTインスタンスを介して常にアクセス可能であるべきである。 加えて、OBISデータセットは、データにつながるDOIを用いて検索可能であるべきである。
相互運用可能性 原則では、知識は正式に指定された共有言語を用いて記述されなくてはならないとされており、それ故、知識は人間だけでなく機械も解釈可能となっている。OBISデータはDarwin Coreスタンダードを用いて記述されており、Darwin Coreスタンダードには、識別子、定義、そして利用可能な場合は使用されるべき語彙、といった項目セットを含んでいる。測定値や採集方法のデータの相互運用性を最適化するためにOBISデータセットは、BODC NERC vocabulary serverあるいは他の機械可読な識別子を有する語彙コレクションからの項目と識別子を用いる事が推奨される。
OBISデータは 再利用可能 でなくてならず、すなわち、十分な情報が利用可能であるがために、第三者は異なる組み合わせでデータを利用することが出来る。この意味において、レコードに関連する全てのデータとメタデータは完全で正確である必要があり、少なくともOBISマニュアルに示される最小限の情報を含んでいる必要がある。理想的には、データ提供者は最低限求められるデータだけで無く、可能な限り多くの情報を提供すべきである。データとメタデータ共に、OBISによって採択された標準規格に合致していなくてはならず、例えば、それはメタデータのためのEcological Metadata Language(EML)であり、多様性情報のためのDarwin Coreがそれらの標準規格である。また、提供された全てのデータは、利用ライセンス(現時点でOBISはそれらのライセンスについてCC0、CC BY、CC BY-NCを認めている)と明確にリンクしていることが必須であり、それらによって利用者は、データをどのように再利用することができるのかや、必要な場合にデータ提供者への正しい謝辞をどのように為せるのかを完全に理解することができる。
FAIR原則の遵守だけでなく、OBISデータはCARE原則と合致していなくてはならない。すなわち、地域固有のデータおよび情報は常に繊細に、かつ、敬意を持って取り扱われるべきである。地域固有データ所有者の権限は尊重されねばならず、先住民族の権利と福祉はデータのサイクルにおける全ての段階において考慮されるべきである。
[節 4. 利用条件]
データは、許可を得て、適切な帰属を表記することを(例えば、永続的識別子を用いて引用可能にして)保証し、そして、他者がデータを複製し、頒布し、利用できる状態にすることを可能にするような最低限の使用制限で、かつ、自主的な共同利用に供するライセンス[3]のもとで(節8を尊重して)使用が許諾されるべきである。
OBISに提供されたデータには、OBISマニュアルに示されたとおりOBISが受容するライセンスのうちの一つが付与されていなければならない。データ利用者は、データ公開者の帰属を、例えば、ライセンス、明確な引用指示、そしてDOIの提供によって、適切に表記することが推奨される。OBISは、OBISノードの働きを通じて、利用者にたいして高品質の海洋生物多様性データを提供することにも取り組んでいる。従って、OBISに提出される全てのデータは、提出前に厳格な品質保証および評価プロセスを経る必要がある。最低限、データ提供者は、位置情報の問題、分類学的な不一致、そして適切な形式変換に対するデータを確認しなければならない。データ提供者はまた、全ての必須情報項目が確実に利用可能であるようにしなければならない。データ品質管理をどのように実施するかの説明は、OBISコミュニティが提供する。高品質データにおける不可分な部分は、節3で示したとおり、完全で包括的なメタデータを有しなければならない。
OBISを介して公開される全てのデータおよび成果物は、いかなる利用者も、公平なアクセスと利益配分の原則に従い、自由にアクセスできる。このことに関して、ライセンスが認める限りにおいて、利用者は、なんらコストを負担することなしに、OBISデータにもとづいて成果物を作ることが出来る。 利用者は、助成金提案書の作成において、OBISおよびOBISノードとの提携や協力を、可能な限り、検討すべきである。OBISのような全球規模のデータベースは、世界中の多くの科学者やデータマネージャー(そしてしばしば無償の)の貢献なしには創出され得なかった。コーディネーション、データ統合、品質管理、データベースとウェブサイトの管理といった活動には、国および国際的レベルでの人的資源を含む資源が必要とされている。
OBISデータや派生した成果物、ソフトウエアアプリケーション、ワークフローおよび論文を(ただしこれらに限らず)利用する場合は、適切に引用を行うべきである。以下に示す形式が推奨される:
一般的なOBISの引用:
```
OBIS (YEAR) Ocean Biodiversity Information System. Intergovernmental Oceanographic Commission of UNESCO. obis.org.
```
OBISから取得されたデータを引用するためには下記を用いる事ができる(データセットの引用表記はzipダウンロードファイルのhtmlファイルにある):
```
[Dataset citation available from metadata] [Data provider details] [Dataset] (Available: Ocean Biodiversity Information System. Intergovernmental Oceanographic Commission of UNESCO. obis.org. Accessed: YYYY-MM-DD.
```
例えば:
```
Sousa Pinto, I., Viera, R. (Year: if not provided use year from dataset publication date) Monitoring of the intertidal biodiversity of rocky beaches with schools in Portugal 2005-2010. CIIMAR - Interdisciplinary Centre of Marine and Environmental Research, Porto. [Dataset] (Available: Ocean Biodiversity Information System. Intergovernmental Oceanographic Commission of UNESCO. obis.org. Accessed: 2015-01-01)
```
データが、統合されたOBISデータベースから取得された多くのデータセットから構成されるサブセットの場合、個々のデータセットを引用することに加えて(そして、個別データセットレベルでの制約を考慮した上で)、OBISのデータベースを以下のように引用することができる:
```
OBIS (YEAR) [Data e.g. Distribution records of Eledone cirrhosa (Lamarck, 1798)] [Dataset] (Available: Ocean Biodiversity Information System. Intergovernmental Oceanographic Commission of UNESCO. www.obis.org. Accessed: YYYY-MM-DD)
```
OBISからの情報成果物はCC-0のライセンスのもとで公開されており、以下のように引用することができる:
```
OBIS (YEAR) [Information product e.g. Global map showing the Hulbert index in a gridded view of hexagonal cells] [Map] (Available: Ocean Biodiversity Information System. Intergovernmental Oceanographic Commission of UNESCO. www.obis.org. Accessed: YYYY-MM-DD)
```
これらの引用表記は広範な利用に対応するが、一方で、利用者は常に、OBISとその広範なコミュニティによって提供されたデータや情報成果物に対する適切な帰属方法に関する詳細なガイドラインが書かれたOBISマニュアルを参照すべきである。
[節 5. データリポジトリおよびIOC ocean data and information system(ODIS)]
データは(コミュニティが採択し文書化した最良事例や標準規格を用いて)品質管理されているべきであり、完全なメタデータとセットであるべきであり、そして標準ベースのデータサービスを介して利用可能であるべきである。加盟国は、集約と相互運用性を奨励し、可能な場合IODEデータセンタ(National Oceanographic Data CentresあるいはAssociate Data Units)、あるいは、メタデータおよびデータをIOC Ocean Data and Information System(ODIS)をもちいて共有するようなIOCプログラムに関連する他のデータセンタを用いることを推奨する。ODISは相互運用性のあるレイヤであり、既存および新たに構築される海洋データや情報システムとが相互に運用可能にするための支援技術である。
節3で示したように、データ提供者はOBISへの提出前に全てのデータについて品質管理を実行する責任を有する。品質管理プロセスの詳細はOBISマニュアルに示されており、マニュアルはOBIS事務局とOBISノードによって定期的に更新される。OBISはODISに接続されており、IODEデータ構造の不可欠な部分となっている。
[節 6: 安全・長期間のデータ保管]
長期間の確実な保管のため、データと関連するメタデータは、実行可能な最大限の範囲において、IODE’s World Ocean Database(WOD)、Ocean Biodiversity Information System(OBIS)、Global Sea Level Observing System(GLOSS)、他のIOCに関連する全球的データアーカイブ、そして、World Data System(WDS)にリンクしたデータセンタや、それらの後継または他の全球的データアーカイブ、に提出されるべきである。
OBISとOBISノードはデータの長期保管を確実に実行すべきであり、データ保管の最良事例を遵守すべきである。OBIS事務局は管理しているデータベースをアーカイブするが、ノードは個々のデータセットのアーカイブに対して責任を有する。OIBSとOBISノードによって提供されるデータとデータ成果物はまた、ユーザーがアクセスし、クエリを送り、そしてデータを様々な形で取得可能とするような標準ベースのデータサービスを通して利用可能で無くてはならならない。OBISは現在、ユーザーがデータにアクセスするための複数の方法を提供しており、データ共有ための最良事例に従っており、この意味において、新たに開発される製品は、最大限のアクセシビリティと相互運用性を確保しなければならない。
[節 7. アクセス制限]
データおよび関連メタデータは、アクセスを制限すべきとの有効な理由が無い場合、最小限の制限のもとで利用可能であるべきである。データへのアクセスやデータの再利用を制限する正当な理由とは、特に、個人情報および機密事項、種や個体群あるいは懸念のある生息地の保全、そして、国家安全保障を含む。
OBISデータセットは3種の受入れ可能なCCライセンスのいずれかを用いて公開されるべきであり、最も寛容なライセンスであるCC0が望ましい。上述の理由のいずれかにより、情報へのアクセスが制限されなくてはならない場合、データ提供者はOBISへデータを公開する前にデータを検閲または一般化すべきであり、それらの変更内容がデータセットメタデータに確実に反映されるようにするべきである。
データがOBISで利用可能となったとき、OBISは以下の許可が与えられたとする:
・データおよび情報のポータルを介してデータを頒布すること
・統合データベースを構築し、データの品質管理プロセスのためにデータを用いること、気候変数といった他のデータによりデータを補完すること、そして、科学や意思決定のために付加価値の高い情報成果物やサービスを構築すること
・データ提供者が設定した利用条件に従って、他の類似のオープンアクセスネットワークにデータを提供すること
著作権保護遵守のため、OBISは、権利保持者からデータセットの取り込みのため許可を得るよう努める。OBISにおけるデータセットの掲載が、著作権の侵害を理由に異議を申し立てられた場合、OBISは、その問題が解決するまで、掲載を取り下げる方針に従う。
[節 8. 加盟国のデータ共有ポリシー]
このデータポリシーは、加盟国とデータ所有者が、該当する場合、国内管轄権、国際的な条約や協定と整合する方法において共有されているメタデータ・データ・成果物の利用条件を決定する権限を認める。
可能な限り、データは完全な状態で利用可能になっているべきである。しかし、加盟国の国内管轄や条約や協定を遵守するためであれば、データへのアクセスはいかなる場合でも制限されなくてはならず、データ提供者は、節7で説明しているように、OBISへの公開の前にデータの検閲や一般化を施す責任がある。
[節 9. データおよびメタデータの共有ガイドライン]
IOCプログラム・プロジェクト・およびその他の実行コミュニティは、該当する場合は、詳細なメタデータ・データ・成果物についての、IOCデータポリシーおよび利用規約と齟齬のない共有ガイドラインを策定し、採択しなければならない。
OBISおよびOBISノードは、OBISデータをどのように公開し、利用するのかについての詳細なガイドラインを提供している。その情報はOBISマニュアル(https://manual.obis.org/)において利用可能である。このマニュアルは定期的に改訂され、最良事例に合致するように改善される。
[節 10. 定義]
‘データ’とは、なんらかの実体についての一つまたは複数の特性を表す値、記号または符号の(様々なメディアに記録された)集合である[4]。‘メタデータ’とは、 中身、品質、状態およびそのほかのデータの特性を記述するようなデータについてのデータであり、データ自体の格納状況、発見、評価または利用を可能にする。この文脈における‘タイムリー’とは、所定の利活用において価値あるために十分な早さでデータや成果物が配布されることを意味する。‘オープン’とは、データが誰でも自由に利用し、再利用し、再配布できる状態を意味する—ただし、最大でも、同じように帰属を明記し共有することが求められる。 ‘成果物’とは、特定の用途に適用されることによりデータに付加価値がつき、より向上した状態になった物である。
OBISはIOCと同じ定義を用いる。
[免責]
OBISから派生した成果を解釈する場合は適切な注意を払う必要がある。利用者はデータの解釈や分析は海洋生物多様性について背景的専門性および知識が求められることを認識しなければならない。利用者は、種名の使い方、地理的参照方法、データ処理および地図化における発生しうるエラーに注意を払うべきである。利用者は、発生しうるエラーに対して自身の結果をクロスチェックすべきであり、必要に応じて結果に対する解釈を変更すべきである。
データが IOC/IODE の資金提供による活動を通じて収集されたものでない限り、 UNESCO、IOC、IODE、OBIS 事務局、およびその職員や請負者のいずれも、OBIS のデータを所有しておらず、OBIS に基づくデータまたは成果物の品質、あるいはその使用や誤用について一切の責任を負わない。